楽天でんき(旧まちでんき)は、楽天エナジーが供給している電力サービスです。
ネットの口コミ・評判では「電気料金が安くなった」「楽天ポイントが貯まる」と好評ですが、本当でしょうか?
実際は、「電気料金が高くなる」ケースもあります。
契約の前に知っておくべきデメリットとは?
「楽天でんき」がオススメの方、そうでない方は?
「楽天でんき」のメリット・デメリットをご紹介します。
「楽天でんき」でシミュレーション
「楽天でんき」はサイトでシミュレーションができます。
エリアは全国対象。
エリアによって違うプランが表示されます。
従量電灯A 従量電灯B(30A 40A 50A 60A)。
我が家は関西電力エリア(従量電灯A)。
電気料金の月平均は450kWh。
「楽天でんき」の「電気使用量」の入力は1ヶ月のみです。
月平均に近い使用月(3月分)で出してみました。
「楽天でんき」は初年度18,878円分おトク!
シミュレーション結果は、「初年度18,878円分おトク」。
「プランS(従量電灯A)で年間5,157kWhご利用の場合」。
実際の電気使用量は5,372kWh。
まあ、推定値はそんなに大差ないと言えます。
それにしても「初年度」と断りがあるのは、どう意味でしょうか?
内訳を見てみます。
「楽天でんき」の推定値が実際と2,000円違う
まず、月額平均。
楽天でんきの推定値は10,720円。
実際は12,800円。
2,000円程度の差があります。
これは他の電力会社のシミュレーションでもあることで、以下の理由によります。
「シミュレーション結果には燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金は含んでいません。」
ちなみに我が家の関西電力の燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金の合計金額は442円+1258円=1,700円(税込1,836円)で、2,000円に近い数字です。
この部分は電力会社が変わっても電力使用量に対して同じ割合で掛かって来るものです。
むしろ、電気代が安くなるとこの部分も安くなる可能性があります。
楽天でんきの電気料金は9,454円。
差額は10,720円-9,454円=1,266円
これが12カ月分で年間15,192円安くはず。
ところが、「内訳」の上の「年間おトク額」は15,188円。
4円の差があります。
これは、四捨五入の関係かもしれません。
無視します。
楽天ポインの内容
問題は「電気代」以外の「楽天スーパーポイント」の項目。
3つに分かれています。
①ポイント:562 ポイント
②楽天カード支払ポイント:1,128ポイント
③お申込みポイント:2,000ポイント
まず、楽天会員であることが前提になっています。
①ポイント
楽天会員になると、楽天グループのサービスを利用するとポイントがつく。
ただ、「562ポイント」がどういう数字なのかの説明はありません。
しかし、こういうことだと思います。
楽天スーパーポイントは200円で1ポイント付きます。。
私の場合、「楽天でんき」の電気料金の年間合計は、113,454円。
113,454円÷200円=567ポイント
なぜか、計算より5ポイント少ないですが近い数字です。
②楽天カード支払いポイント
これは、月々の電気料金を楽天カード(クレジットカード)で支払った場合に付くポイント。
通常は金額に対して1%のはずですが、ここでも計算すると若干異なります。
楽天でんきの電気料の年間合計:113,454円
ポイント:113,454×1%=1,134ポイント
実際のポイント:1,128ポイント
わずかですが、6ポイント違います。
③お申込ポイント
これは契約時のキャンペーンと意味は同じ。
2,000ポイント貰えるので、2,000円分の楽天ポイントを使えることになります。
これは大きいですね。
尚、これ以外に「チェック完了後にエントリーで5ポイント」が付くとあります。
私は楽天カードを所有していますが、電気料金は他のクレジットカードで支払っており、変更する予定もありません。
従って、楽天カード支払いのポイントは付きません。
「初年度」は「お申込ポイント」2,000ポイントが付きますが、2年目以降は付きません。
結局、私が「楽天でんき」に乗り換えた場合、2年目以降、安くなる額は電気代の15,188円+562ポイントとなります。
次に「楽天でんき」の口コミ・評判を見ていきましょう。
「楽天でんき」の口コミ・評判
良い口コミが圧倒的に多いですが、口コミを丹念に見ていくと悪い口コミもありました。
良い口コミ・評判
「楽天でんき」の良い口コミの内容は共通しています。
・手続きが簡単
・サイトでグラフを見て使用状況を毎日チェックできる
・電気代が安くなった。
・楽天ポイントが溜まり、ポイントで電気代が払える。
・申込時にボーナスポイントをもらえる(2000ポイント~)
・解約手数料がかからない
悪い口コミ・評判
一部「料金が高くなった」という口コミがありました。
「中部電力からネットで安いとと思って乗り換えました。
今まで1万5千円で中部電力に払っていましたが、今回乗り換えたら4万5千で請求がきました
電話で問い合わせたところ、中部電力は深夜割引はあるけど楽天電気にはない。」
「楽天でんきは電気代が安い」という口コミを鵜呑みにするのではなく、実際にシミュレーションをしてみること、さらには、現在、割引オプションを受けている場合は、それを加味して、安くなるのか高くなるのかを判断する必要があります。
私のガス料金のケースでは、電気料金比較ナビ「電気チョイス」で「エリア内では関電ガスが一番安い」と言われましたが、我が家は大阪ガスの割引オプションがあり、事前に調べた金額は大阪ガスの方が安かったです。
業者は一般価格でしか比較していないので、割引がある場合は、十分ではありません。⇒電気チョイスの評判・口コミは本当?メリット・デメリットは?
電気使用量によっては、あるいは割引オプションがある場合には、「楽天でんき」に乗り換えると逆に高くなる場合があります。
※これについて後述します。
また、「東京電力から楽天でんきの乗り換えたが、電気料金はほとんど変わらない」という口コミの方もありました。
但し、電気料金と今まで変わらないにも関わらず、楽天でんきに乗り換えた方は楽天ユーザーで、楽天ポイントが付くのでおトクという考え方の方が多いです。
「楽天でんき」のメリット
基本料金0円、単価は一律
従来の電力会社には基本料金(従量電灯Aは最低料金、従量電灯Bはアンペアごとの料金)があります。
しかも、電力使用量で従量料金の単価が3段階で上がります。
即ち、全く使わなくても基本料金がかかる。
使えば使う程単価が上がるという仕組みです。
通常のビジネスであれば、まとめ買いをすると安くなりますが、電力は別です。
これは資源の保護から「電気を使わせない=多く使うとその分加算する。」という意図があります。
その点、「楽天でんき」は基本料金0円、単価はいくら電気を使っても一律です。
非常に分かりやすいし、納得のいける料金体制です。
一定量以上の電気を使っている限り、「楽天でんき」の方が安くなります。
※「楽天でんき」が逆に高くなるケースについては後述します。
楽天ポイントが付く
これは多くのユーザーが「楽天でんき」のメリットとして指摘している点です。
楽天をよく利用するユーザーにとっては最大のメリットだと言えます。
申込時に2000ポイントのボーナスポイント、さらに楽天カードで支払うと、電気料金の1.5%の楽天ポイントが付きます。
楽天ポイントは楽天と提携しているショップの支払いや、電気料金の支払いにも充てることが出来ます。
楽天を良く利用するユーザーにはメリットが大きいです。
解約金が必要ない
スマホの場合には契約期間に縛りがあり、更新期間に解約しないと解約違約金がかかります。
しかしながら、電気の契約に関しては契約期間の縛りも、解約金も発生しません。
これは、「楽天でんき」に限ったことではなく、どの電力会社でも同じですので、特に「楽天でんき」特有のメリットではありません。
その月の時間別の電気使用量が見れる
これは、口コミで良く指摘され、「節約につながる」と評判のサービスです。
しかしながら、関西電力では元々そのサービスをやっており、関西電力を利用してきた私にとっては、目新しいサービスではありません。
東京電力エリアでは、なかったサービスのようです。
「楽天でんき」のデメリット
「楽天でんき」のメリットを見てきたところで、今度はデメリットを見ていきましょう。
まず、誰でも「楽天でんき」に申し込めるわけではありません。
「楽天でんき」に申込が出来ない人は?
以下の方は「楽天でんき」に申込が出来ません。
・従量電灯Bで30アンペア未満(10A・15A・20A)
・オール電化
・離島に住んでいる
・電気契約が高圧一括受電
これ以外に楽天会員であることが最低条件です。
楽天会員になるのは無料です。
楽天ポイントは使える店舗が拡大しているので、この機会に楽天カードを作ってもよいかもしれませんね。
楽天カードも無料で作成できます。
支払いはクレジットカードのみ
支払いはクレジットカードのみです。
口座引落はできません。
しかし、口座引落ではポイントは付きませんが、クレジットカードならポイントが付きます。
さらに、溜まったポイントを電気料金の支払いに回せるのでおトクです。
支払に使えるクレジットカードは楽天カードでなくても構いませんが、ポイントを貯めるカードを一本化した方が、ポイントは溜まりやすくなります。
楽天を使う機会が多い、楽天ポイントが使える店舗が身近にあるということでしたら、楽天カードでの支払いがおトクです。
スマートメーターが必要
スマートメーターはデジタルで計測する電力メーターのことです。
スマートメーターがないと電力会社を変更することができません。
自分で交換する必要はなく大手電力会社が無償で交換してくれます。
これは、電力会社を乗り換える場合に、必ず必要なので、「楽天でんき」に限ったことではありません。
紙の検針票はなし
「楽天でんき」では、検針票はありません。
マイページから確認します。
その月の電気使用量や時間毎の電気使用量を確認できるので節約につながると評判の「見える化サービス」です。
ただ、難点は携帯からは確認できないこと。
スマホからは確認できます。
「楽天でんき」と地域電力会社の料金比較
「楽天でんき」は基本料金0円、使った電気に一定の電気料金がかかる従量制です。
一見、良さげに思いますが、一部の方は逆に電気代が高くなる場合があります。
「楽天でんき」は基本料金0円、使った電気に一定の電気料金がかかる従量料金です。
※従量料金はエリアによって異なります。
従来の電力会社の料金体制に比べるとシンプルで、お得な料金体制に思えますが、電気使用量によっては、高くなるケースがあります。
エリア別従量料金比較
「楽天でんき」は全国対応です。
エリア別に地域電力会社と「楽天でんき」の従量料金の違いを見ていきます。(2019年4月時点)
北海道電力エリア(従量電灯B・Cの場合)
電気使用量 | 楽天でんき | 北海道電力 |
---|---|---|
~120kWh | 29.50円/kWh | 23.54円/kWh |
120~280kWh | 29.72円/kWh | |
280kWh~ | 33.37円/kWh |
東北電力エリア(従量電灯Bの場合)
電気使用量 | 楽天でんき | 東北電力 |
---|---|---|
~120kWh | 26円/kWh | 18.24円/kWh |
120~300kWh | 24.87円/kWh | |
300kWh~ | 28.75円/kWh |
東京電力エリア(従量電灯Bの場合)
電気使用量 | 楽天でんき | 東京電力 |
---|---|---|
~120kWh | 26円/kWh | 19.52円/kWh |
120~280kWh | 26.00円/kWh | |
280kWh~ | 30.02円/kWh |
中部電力エリア(従量電灯B・Cの場合)
電気使用量 | 楽天でんき | 中部電力 |
---|---|---|
~120kWh | 26円/kWh | 20.68円/kWh |
120~300kWh | 25.08円/kWh | |
300kWh~ | 27.97円/kWh |
北陸電力エリア
電気使用量 | 楽天でんき | 北陸電力 |
---|---|---|
~120kWh | 21.5円/kWh | 17.52円/kWh |
120~300kWh | 21.33円/kWh | |
300kWh~ | 23.02円/kWh |
関西電力エリア(従量電灯Aの場合)
電気使用量 | 楽天でんき | 関西電力 |
---|---|---|
~120kWh | 22円/kWh | 19.95円/kWh |
120~300kWh | 25.33円/kWh | |
300kWh~ | 28.76円/kWh |
中国電力エリア(従量電灯A・Bの場合)
電気使用量 | 楽天でんき | 中国電力 |
---|---|---|
~120kWh | 24円/kWh | 20.40円/kWh |
120~300kWh | 26.96円/kWh | |
300kWh~ | 29.04円/kWh |
四国電力エリア(従量電灯Aの場合)
電気使用量 | 楽天でんき | 四国電力 |
---|---|---|
~120kWh | 24円/kWh | 20.00円/kWh |
120~300kWh | 26.50円/kWh | |
300kWh~ | 29.95円/kWh |
九州電力エリア
電気使用量 | 楽天でんき | 九州電力 |
---|---|---|
~120kWh | 23円/kWh | 17.19円/kWh |
120~300kWh | 22.69円/kWh | |
300kWh~ | 25.58円/kWh |
沖縄電力エリア
電気使用量 | 楽天でんき | 沖縄電力 |
---|---|---|
~120kWh | 26.5円/kWh | 22.53円/kWh |
120~300kWh | 27.97円/kWh | |
300kWh~ | 29.91円/kWh |
「楽天でんき」で高くなる人
「楽天でんき」で電気料金が高くなる可能性のある人は次の方です。
電気使用量が少ない人
上記の表で黄色マーカーの電気使用量の従量料金は、「楽天でんき」より地域電力の方が安いです。
但し、地域電力会社では従量料金以外に基本料金(又は最低料金)がかかります。
従って、一概には言えませんが、各エリアで黄色マーカーの電気使用量のご家庭では、電気料金が「楽天でんき」より高くなる可能性があります。
割引料金のある人
シミュレーションでは見えない部分に割引料金があります。
シミュレーションは一般料金での比較なので、貴方のご家庭で深夜割引等がある場合、逆に「楽天でんき」の方が高くなる可能性があります。
「楽天でんき」メリット・デメリットまとめ
「楽天でんき」メリット・デメリットまとめです。
メリット
・電気料金が安くなる
・楽天ポイントが貯まる
・貯まった楽天ポイントは電気料金に充当したり、ショッピングに使えたりする。
デメリット
契約できない方
「楽天でんき」は以下の方は契約できません。
・従量電灯Bで30アンペア未満(20A)
・オール電化
・離島に住んでいる
・電気契約が高圧一括受電
又、楽天会員に登録する必要があります。
「楽天でんき」が高くなるケース
以下の方は電気料金が高くなる可能性があります。
・電気使用量が少ない
・深夜割引等のオプションがある
いずれにしても、正確な事はシミュレーションをしないと分かりません。
元々、割引のある方は、シミュレーション結果に割引を加味し、「楽天でんき」に乗り換えた場合、得か損かを判断するのが賢明です。